環境大臣賞・日本商工会議所会頭賞

小さな努力

国立北海道教育大学附属札幌小学校
        四年 西野 慶

 朝、ゴミを出す。これは学校へ行く途中の

私の仕事です。ゴミステーションは、ゴミの

山、山、山。見るたびに大きくなっているよ

うに感じます。「こんなにたくさんゴミ、な

んとか減らせたらいいのに。」と私は思いまし

た。そして、夏休みのある一日、ゴミを出さ

ないようにしてみようとやってみました。

 しかし・・・。キャンディーを食べても、

一コ一コの包み紙が出るし、鼻をかんでも、

ティッシュのゴミが出てしまうのです。そし

て、テーブルにお茶などをこぼしても、それ

をふくためにティッシュでふいてしまうと、

またゴミが出てしまいます。

 お昼に料理をすると、生ゴミがたくさん出

てしまいます。例えば、サンドウィッチを作

るにしても、卵のから、キュウリの皮、パン

のふくろ、ツナのかんなどをすてるので、ど

うしてもゴミが出てしまいます。

 結局、この日はゴミを出さずに一日過ごす

ことは、不可のうでした。

 そこで、私はどうやったらゴミを減らせる

かを考えてみました。すると、こんな考えが

頭の中で浮かんできました。第一に、お店で

リサイクルできそうなパッケージの物を選ん

で買う事。第二に、なるべく、一コ一コ包ん

である物は買わない事。しかたがなく出てし

まったゴミは、リサイクルする事。第三に、

食べ残しをしない事。第四に、こぼしてしま

った物は、ティッシュを使わずにふきんなど

でふく事です。そして、生ゴミは、たいひに

もなると母が言っていました。

 世の中のゴミを減らすことは大きな仕事だ

けれど、そのためには一人一人の小さな努力

が必要だと思います。

 私の家のゴミぶくろは、よその家のゴミぶ

くろの半分くらいでした。

 がんばったからな。

 

 

日本商工会議所会頭賞

自分たちで守る美しい自然

平田市立鰐淵小学校猪目分校 

        五年 山本 郁

 ぼくは、そうじがきらいだった。そうじの

時間は、やっているふりをして、早く終わっ

てほしいと思っていた。

 ある日、先生が、

「郁さんは、川へ行くといつもごみを拾って

帰って来るね。」

と、言われた。そうじがきらいだったぼくだ

から、先生のことばを聞いた時、

「えっ?」

と、思った。でも、そう言えば、川にカジカ

ガエルの観察に行った時、ごみを見つけたら、

ぼくは、いつもそのごみを拾って帰っていた。

ぼくが拾って帰ったごみは、たばこのすいが

ら、ビニールぶくろ、ほうちょう、なべなど

があった。どうして川に、ほうちょうやなべ

などをすてるんだろうと思った。

 そうじがきらいだったぼくが、川のごみを

拾うようになったのはどうしてか考えた。理

由は、やっぱりカジカガエルにきれいな川に

住んでもらいたいからだと思う。川がよごれ

て、カジカガエルのきれいな鳴き声がきけな

くなってしまったら、すごくさみしくなって

しまう。

 今ごろ、にわとり小屋そうじや畑仕事も一

生けん命するようになった。にわとり小屋を

そうじして、きれいにすると、にわとりがす

ごくよろこんでくれる。畑に水をたくさんま

いたり、草とりをすると、いもや玉ねぎもよ

く育ってくれる。ぼくが川のごみ拾いやにわ

とり小屋そうじや畑仕事を一生けん命するの

は、きれいにしたり、世話をしたりすると、

ぼくの大切なものを守ったり、かわいがった

りできるからだと思う。

 夏休みが終わるころ、猪目の海にはごみが

いっぱいあった。猪目のみんなでごみを拾っ

た。猪目の海を大切に思っているからみんな

一生けん命拾うと思う。猪目の海に来る人も

猪目の海が好きだから猪目に来られると思う。

自分が大切に思うものは、自分で大切にして

いかなければいけないと思う。

 

日本商工会議所会頭賞

『時計の木』

広島市立深川小学校 

       六年 爲季 優美

 この夏、「子どもピースサミット」に参加

した私は、『時計物語』という原爆劇を見る

機会を得た。「平和」という本来のテーマと

は別の視点からだが、その劇の一場面に私は

とてもはっとさせられた。

 一人の少女がとても仲良しだった、一本の

「時計の木」。少女は木をとても大切にして

いた。その木がつくる影は、日時計としてい

つも少女に時間を教えてくれた。ところが、

ある時からその木は少女に忘れられ、見向き

もされず、日ごとに生命力を失ってしまう。

少女が、本物の時計を手に入れたから。

 昔から、人間は自然とバランス良く生きて

きた。この劇でも、少女が思いを寄せなくな

ると木は弱り、再び少女が目を向けるように

なった時、木は生き生きとよみがえったのだ。

 植物は、私達に様々なものを与えてくれる。

人間が必要とする酸素をつくり出したり、水

蒸気を出して、気温が高くなりすぎないよう

にしたり、地下深くまで根をしっかりと張っ

て、土砂くずれや洪水を防いだりもするのだ。

 昔は人間も、他の動物と同じように、自然

の助けをかりながら生活していた。自然と共

に生きていたのだ。しかし今、人間は文明と

いう利器を使って、みずから、その保たれて

いたバランスをくずし始めている。少女が、

人間の造り出した時計という道具を手にした

ために、大切な「時計の木」を忘れてしまっ

たように。

 私達が今かかえている、様々な環境問題。

それは、人間が生きてきたことの結果として

生まれてきたものばかりだ。私達は今、もう

一度、自然との調和を取りもどすべきだと思

う。

 そのために、私は心の中に、一本の『時計

の木』を育てていこう。私達人間と自然は、

これからもずっと、一緒に生きていく友達な

のだから。